zassou.syk創設の年を振り返って:第一歩の記録① 2024年春~夏

zassou.syk

zassou.syk(ザッソウ創薬)が初めての一歩を踏み出した2024年。春から夏にかけて、私たちは毎月の勉強会を通じて、創薬やデータサイエンスに関する多くの知見を共有してきました。本記事では、その記録と学び、そして課題や可能性について振り返ります。

【zassou.syk創設の年】

私たちの勉強会が初めての一歩を踏み出した2024年が過ぎました。設立当初の目的や背景については、すでにこちらの記事で紹介しましたが、ここで一度活動を振り返り、その成果や課題についてまとめてみたいと思います。

2024年4月から、私たちは毎月一度の勉強会を開催し、多くの知見を深めてきました。それぞれの勉強会のテーマや内容を振り返り、どのような学びがあったのか、どのような挑戦があったのかを共有し、次なるステップへの決意を新たにします

【第1回勉強会】Zassou.syk開会とKNIMEの紹介

テーマ:開会宣言と自己紹介+KNIMEの活用事例

  • 「開会宣言とおやくそく」(@KNIMEST)
  • 参加者による1分間自己紹介
  • 「働く人たちの余暇を守りながら人手の不足手を補う」(@いその)
  • KNIMEによるオミックスデータ処理の紹介

@いそのさんからは、KNIMEがいかに研究の効率化に貢献するかを解説いただきました。
Zassou.sykの目的と仲間づくりの第一歩となった回でした。

📎 関連記事:【zassou.syk(ザッソウ創薬)】はじめました | KNIMEST~ザッソウと創薬~

関連動画: https://youtu.be/ObrokbWylhE?feature=shared

初回だけはzassou.sykの当初の目的など話し、自己紹介の時間も設けてチームビルディングを始めました。
@いそのさんにはオミックス研究の面白さや研究でのデータ処理がいかにKNIMEで効率化しうるかの紹介をしていただきました。関連記事も公開しています。
KNIME | KNIMEST~ザッソウと創薬~

【第2回勉強会】重点テーマの決定とJKI企画

テーマ:Zassou.sykの重点課題とJust KNIME It!紹介

  • 勉強会の重点テーマを全員で議論
    • A. KNIME活用推進
    • B. AI創薬
  • KNIME社の公式企画「Just KNIME It! Season 3」紹介

JKIの紹介とともに、KNIMEでの課題解決能力を高める方法を共有しました。
📎 関連記事:【zassou.syk】勉強会レポート:KNIMEとAI創薬の活用 | KNIMEST~ザッソウと創薬~

KNIMEに関して私(@KNIMEST)からJust KNIME It! (JKI)に関するおさらいと学習効果の説明をしました。JKIはKNIME社が毎週1つChallengeを出題し、世界中のKNIME使いと作品を見せ合って回答する企画です。

2024年に3周年を迎えたJust KNIME It! Season 3 (JKI3)を一緒に解く勉強会を企画しましたが、これは外れましたねー。初回に参加者が私以外一人しかいなくって1回だけで終了してしまいました。

ちなみにJKI3はKD勉強会という別のグループでは大いに盛り上がりました。

【KNIME】KNIME&データ分析勉強会 | KNIMEST~ザッソウと創薬~
その成果として JKI3を完走出来て、KNIME社から表彰いただけました。
One, Two, Three: The Third Cohort of Just KNIME It! KNinjas is Here | KNIME

【第3回勉強会】AI創薬の可能性を論文から探る

テーマ:AIによる化学反応の発見と収率予測の論文紹介

  • 「AIによる化学反応の発見と収率予測について論文紹介」(@かわい)
  • AI技術の創薬応用についての活発なディスカッション
  • JASPUGワークショップ報告(@KNIMEST)

AI創薬におけるデータ活用の重要性や、SAR分析の実践例を共有しました。
異なる視点のメンバーでの議論が、新しい学びにつながりました。

📎 論文リンク:AIによる化学反応の発見と収率予測について論文

第3回からはAI創薬研究やその活用に関する話題が取り上げられました。

@かわいさんに紹介いただいた論文「創薬および有機合成化学におけるAI研究の進歩と課題 」に関してのコメントや質問、創薬化学研究現場での活用可能性についてなど議論したら1時間なんて短いものです。

「JASPUGワークショップ紹介」(@KNIMEST)

私からもJASPUGワークショップを話題に取り上げました。
JASPUGは日本Spotfireユーザグループ の略称ですから、AI創薬プラットフォームとしても当然Spotfireを使います。SARデータの解析と合成展開方針の議論を所属組織の壁を超えてできたのはなかなか得難い体験でした。

 zassou.sykなら同じ題材をどんなツールと切り口で扱うのが面白そうだろうかと相談して得た着想が2025年のzassou.sykでの新企画にもつながっていますがそれはまたの機会に。

【第4回勉強会】AIDD論文レビューで実践力を養う

テーマ:MolGroupのAI創薬に関する論文レビュー

  • 「MolGroup論文紹介」(@Tack)
  • マルチタスク学習の可能性とデータ最適化の議論
  • 実務と研究のギャップを埋める視点

KNIMEやAIを使った創薬支援に必要なデータ構成や活用法について深く議論しました。
メンバーを変えての再レビューが、別の知見を生む好例となりました。

📎 資料:MolGroup論文

2024年にはAIDD Wednesdayという勉強会があったのをご存じでしょうか?

そこで話題に取り上げられた MolGroupの論文を解説してもらって理解を深めようという試みです。AIDD Wednesdayでは国内のAI創薬研究の玄人さんが集っていたため自ずと機械学習技術に関しての議論になるわけですが、創薬化学者や計算化学者が多いzassou.sykでは実際に創薬の現場で役立つとするなら具体的にどんなデータがあるだろうか、マルチタスク学習でモデルの性能が高まる可能性がある化合物プロファイルは何かなどに興味が集中して、少ないデータ群をうまく活用して創薬研究を進められたらという願いを共有する会となりました。

同じ論文のレビューもメンバーを変えると視点が変わって新たな学びになるという成功体験を得たことで味を占めて、その後も他のコミュニティでの発表内容をもう一度zassou.sykで咀嚼し直すという企画が増えたきっかけとなった会です。

実は発表者の@Tackさんに当時の動画の公開を許可いただいているのに半年経って未公開のままです。編集が滞ってましてごめんなさい。

【第5回勉強会】KNIMEとDataWarriorの連携挑戦

テーマ:KNIMEとDataWarriorの技術連携紹介

  • 「KNIMEとDataWarriorの連携をしてみた」(@おびと)
  • 化学構造データのETL処理(抽出・変換・格納)
  • OSSの可能性と実用例を解説

世界でも稀な、KNIMEとDataWarriorの連携実例を共有しました。
構造式データやメタ情報の扱い方など、実践的なナレッジが満載の回でした。

📎 関連ツール:DataWarrior公式

「KNIMEとDataWarriorの連携をしてみた」(@おびと)

技術的には可能であろうと想像はできますが、自分で KNIMEとDataWarriorの連携システムを作ったことがある人は世界に何人いるのかな。
ケモインフォマティクスに関するETL
Extract(抽出)
Transform(変換)
Load(格納)
に強いし、初心者にもやさしいKNIME
TeachOpenCADD-KNIME体験記 はじめます|ナイメスト

そして化合物構造など含めた可視化に特化した無料のツール DataWarrior

DataWarrior:化学的なアウェアデータ可視化と分析に対するオープンソースプログラム | 文献情報 | J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター

オープンソースソフトウェア(OSS)でどこまで使いやすくなるのか興味津々です。
よくあることですが、システム間のデータのやり取りに何を使うかで連携のスムーズさが大きく変わります。

@おびとさんは公式に情報が開示されていない技術課題があるほど燃える方なので、今回も世にほぼ情報がないKNIMEとDataWarriorの連携の実例を見せてくださいました。

DataWarriorならではの構造データのエンコードやファイルの中身がメタデータ+タブ区切りテキストであることなど、やはり実データで見て理解するのは有用ですね。zassou.sykではOSSを基幹ツールとして今後も勉強会を続けます。Data Warriorの利用例の発信も魅力的なコンテンツになるのではと期待しています。

2024年の春~夏にかけての活動を紹介したところで今回の記事はいったん区切り、秋~冬の活動を次回に紹介します。

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