やさしいことの大切さ
私はnoteでKNIMEについてブログを書いてきました。
読者さんからの嬉しかったフィードバックの一つが、「KNIMESTさんの記事の内容はやさしいんですよね」でした。
優しいのか易しいのか、確認はしなかったけど、実は両方を兼ね備えたいです。
KNIMEに関して、KD勉強会などのコミュニティでその分野のすそ野を広げて高い頂を目指す話をしました。
私がKNIMEの本当の初学者(初心者よりの前の始めたばっかりの事をそう呼んでいます)だった時、それこそ富士山のすそ野の樹海のように多すぎる情報の森に迷い込んでいました。
そもそもの原点に立ち返った時、私のような(元)研究職の人がプログラミングツールを手にするときは自分の分析したいデータさえ思い通りに扱えたら十分なんです。
基礎から全てを学び、実力をつけようって思ったら苦難の道のりです。
一方で、自分のやりたいことに沿ってする勉強だったら、あんまり苦にならないで進められるし、しっかり理解したくなりますよね。
@みとちさんのように、むしろ喜んでプログラミングの学びを深める優れた研究者さんももちろんいますけどね。
Iwatobipenさんだって創薬化学者ですし…デスヨネ!?
私の記事は目的を絞って、ある一つのことを少しだけ掘り下げて勉強した体験を皆さんと共有するような内容を心がけています。寄り道も多いけどね。
そうすることで樹海にケモノミチのような道筋が一本できて、その後誰かがその道を使うことでいつの間にか遊歩道のように皆さんが安心して歩ける道が作られたらいいなと願っているのです。だから私の記事がやさしいと思ってもらえて皆さんが試しに読み進んでみようと思っていただけるなら、最高に嬉しいわけです。
AI創薬コミュニティいろいろ
創薬コミュニティzassou.sykはいま、KNIME以外にAI創薬も重要なトピックとして取り上げています。
AI創薬は近年多くの研究者が注目するトピックで、コミュニティが林立していると思います。日本国内でも、CBI学会のような権威ある学会もあれば、mishima.syk、Tokyo-1のような一流どころの研究者集団には本気の玄人さんが集結していますね。
一方ですそ野を広げるという観点で言うと、上記の集まりで初心者が発言するには相当な覚悟が必要です、そこで出る「素人質問ですが」の言葉は、多くの場合演者がひるむほどの本質的な問いだったりします。
もっと初心者でもわからないことを聞いてみることができる、すなわち初心者にやさしいAI創薬コミュニティを見つけられないかと、実はあちこち顔を出しています。
今回は以下の2つでの体験談と、その発展的学習に関して思いつくまま書いてみます。
AIDD Wednesday
公に情報開示されてないようなので詳細は伏せますが、製薬企業の有志が集まって水曜日にゆるくAI創薬(AIDD:AI Drug Discovery)を語り合おうという試みが今年始まりました。
今のところ本件に関して見つかる公知の情報は下記の記事のみです。
私も素人ながらに参加して、初心者ならではの質問などしましたが丁寧に答えてくださいました。とても嬉しかったので、その成功体験を再びとzassou.sykでは@Tackさんを講師として、もっと初心者向けに時間を倍かけて私たちにAI創薬研究の垣間見をさせてくださいとお願いしました。7月の第4回勉強会から数回に分けて講義いただきます。
JASPUGワークショップ
国内製薬業界ではとても有名な日本スポットファイアユーザー会(JASPUG)はSpotifire活用のための議論の場です。
国内の名だたる製薬企業から創薬化学者やインフォマティクス研究者が集います。つまり、AI創薬の創薬研究現場での実際の使いどころについて議論するには最適な方々が集っています。実は2024年6月には持ち込み企画として、AI創薬へのSpotfie活用のワークショップに参加しました!
生成AI(と一部はKNIME)を使った化合物発生と各種化合物プロファイル予測を行いデータセットを用意し、創薬支援AI/ITを用いてHit to Leadをシミュレーションして合成展開方針を決められるものだろうかなど話し合いました。多くの方が指摘されている通り、創薬ステージの早期に現実的に利用可能な精度で活性予測ができるものだろうか、できないとしたらどうやって合成展開方針を定めるか。
あるいはノブさんが既にブログで述べている通り、創薬化学者にとっていかに効率よく自分たちが欲しい魅力的な情報を手に入れられるのだろうか。
疑問ばかりで明確な正解などないですが、仮定を置いて、適切に検証し、次のあらたなよりよい仮説を見いだすことが研究の基本であることはまだまだ変わることはないと考えます。
AI創薬の温故知新:zassou.sykでの試みについて
KNIMEと同様、AI創薬についても初心者が安心して疑問を口にできる場があったらいいなと、まさにAI創薬初心者の私が強く願っています。まだどこにも無いのなら、創ってみませんか?
世界中でAI創薬の実装とその成果が報告されている中で、今から基礎を学んで間に合うのかと思う方も多いでしょう。しかし私は、AI創薬分野のすそ野を広げて高い頂を目指す試みの一つに創薬コミュニティzassou.sykがなれたらいいなと願っています。
zassou.sykに@Tackさんをお招きできたのは僥倖っ
なかなか他の研究機関の方々とデータを共有してSARを語ることは困難なものですが、公知のデータベースに加えてAIを活用した仮想サンプルデータなど活用してあらためてケモインフォマティクスの基礎から温故知新の学習をしてみるのも良いのではないかと思い立ったところです。
私が主宰する以上、AI創薬に関してのzassou.sykでの勉強内容はやさしいものであることは保証します。だって私が分からないことを気軽に聞きまくりますので。
6月には@かわいさんが反応予測の機械学習研究について論文紹介をして下さいました。7月からは先ほど紹介した通り@TackさんによるAI創薬研究の論文2報についての初心者向けレビューが始まっています。
大規模言語モデルの創薬化学研究での利用可能性に関してもいつか議論をしてみようかな。
最先端の成果も理解したいですけど、技術背景を知るためには各論文のIntroductionの部分の各課題のこれまでの到達点についても、初心者なので質問しまくるでしょう。まさにAI創薬の温故知新ができたらなと期待しています。またブログに書きますね。この試みが、AI創薬の樹海に足を踏み入れる皆さんにとってのケモノミチになったら嬉しいです。
「誰にSOSを送ろう
匿名で書いた 柔な叫びを
鼓膜でくらうロックンロール
束の間潤う」
初心者の知識への渇きに潤いを与えてくださる講師の皆さまへは最大級の感謝と賛辞を。何卒よろしくお願い申し上げます。
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