zassou.syk創設の年を振り返って:第一歩の記録② 2024年秋~冬

KNIME

【zassou.sykの初めての秋は大豊作】

黎明期である2024年春に、 zassou.sykの在り方について私はこんなことを言っていました。
「zassouの生い繁る庭(ザッソウガーデン)、見てみませんか?」

【zassou.syk】みとちがなかまにくわわった!|ナイメスト

「今参加して下さっている皆さんからももっとアイデアが出るんだろうと思います。
より多くの方が面白いと思ってくれそうだと思ったら、勉強会イベントを打ってもいいかなって思います。

皆さん忘れないでください、ここはザッソウガーデン、季節ごとに、時の移ろいとともに植生が変わります。今はただほんのはじまり。」

【zassou.syk(ザッソウ創薬)】はじめました | KNIMEST~ザッソウと創薬~

私たちの勉強会の創設の年の春から夏にかけて、ザッソウガーデンに芽吹き、生い繁る様子は読み取っていただけたかと思います。

今回は秋から冬にかけての実りの収穫など紹介できたらと思います。豊穣の神である DIONYSUSの話から始めましょうか。酩酊の神でもあるのですね。zassou.sykの懇親会でもそんな方、いましたねぇ(笑)
ディオニューソス – Wikipedia

【第6回勉強会】DIONYSUS論文紹介

再び登壇された@Tackさんに第4回の続きとして DIONYSUSを解説いただきました。論文の内容に加えて補足説明としてそもそも予測の不確実性には大きく分けて二種あることを再認識できました。
認識論的不確実性と偶然的不確実性のスライドを引用します。

引用元: https://speakerdeck.com/elix/elix-di-1hui-aidd-wednesday-gui-mo-detasetutowo-ita-yu-ce-moderunoxun-lian-nituite

せっかくケモインフォマティクスの玄人さんとも交流できるzassou.sykなので、実際のところ皆さんがどうやって予測の不確実性を評価しながら機械学習モデル構築・選抜を進めているかを質問したらよかったと今になって思い返しています。

【第7回勉強会】~2020 AI逆合成

1人目のLTは@どんぐりさんからの発表。SYNTHIAとして製品に実装された逆合成アルゴリズムは創薬化学者にとって魅力的でもあるがなかなか実践的に使いこなせない難しさもあるように思っています。あくまで個人の感想ですが。この会では過去に公開された論文をもう一度読み返すことで具体的に逆合成AIに期待する機能など話し合うことができました。

参考情報①:Computational planning of the synthesis of complex natural products | SYNTHIA™ Retrosynthesis Software

参考情報②:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2451929418300639

2人目のLTは、@泳ぐたいやきさん。「Harnessing Medicinal Chemical Intuition from Collective Intelligence」についてでした。
参考情報:https://chemrxiv.org/engage/chemrxiv/article-details/66354621418a5379b06184fe

創薬化学者がAI創薬をツールとして相補的に使いこなせるとより強力であると概念的にはわかります。予測が創薬化学者とAIでずれた場合にAI側の予測結果を信じるに足る精度があるか、そもそもどれほど難しい問題だったのか見てみたいなど議論がありました。

上記の2つの話題でたったの1時間としたのはもったいなかったなと思います。2025年にそれぞれ続編で1時間ずつ取ってもよさそうなトピックだと思うのでお願いしてみようかな。

【第8回勉強会】メドケムDXの成功の鍵とは?

1人目のLTは@mizさん。メドケムDXとはAI/IT創薬を使える技術にすること。KNIMEやPP (Pipeline Pilot) の強みやその普及について議論しました。創薬化学者がケモインフォマティクスや計算化学技術のデータにより親しく触れるようになるには何が鍵になるのでしょうか?


KNIMEやPPはまずはノーコードつまりコーディングをしなくってもプログラムを自分で設計して実行できるところが初心者に易しいとよく言われます。加えてRDKitをはじめとする創薬化学者が化合物データを扱うのにとてもよく使う機能が気軽に組み込めるのが便利ですね。

国内でも数々の製薬系研究所でライフサイエンス系の研究者がKNIMEでの体験をきっかけに自分でデータ処理して解析するスキルを身に着けて、さらにPythonに興味をもってレベルアップしているそうです。 AI/IT創薬を当たり前に身近な技術にできて、創薬研究を推進する風土が定着したらメドケムDX の成功例にあたるかなと思います。

zassou.sykでも「温故知新」を一つのキーワードとして追体験をしてみたいですし、その過程を今後公開していけたらと企画しています。@mizさんのような玄人さんたちも大勢参加してくださっているので、さらにその先まで行けるなら最高ですね。

【第9回勉強会】Scaffold-Hopped Compound Identification by Ligand-Based Approaches with a Prospective Affinity Test

1人目のLTは@mitsukiさん。スキャフォールドホッピング(骨格変換)の難しさはかなりの玄人の計算化学者でも、熟練した創薬化学者でも共通して感じるものだと思います。リガンドの情報だけをもとにしてとなればなおさらです。そこへあえて挑む研究の成果をご紹介いただきました。選ばれた手法は著名なものが多く、あえて同じ課題に並べて実施することでそれぞれの強みなど見いだせたら本当に興味深いものだと感じました。皆さん本気で使えないかって目線で質問してましたよ。

参考情報:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.jcim.4c00342

@KNIMESTより、2024年の締めくくりとして上記の9つの勉強会を振り返り、素晴らしい機会を与えてくれた演者の皆さんと議論を深めてくださった参加者の皆さんにあらためて感謝して閉会となりました。秋冬の勉強会ではより創薬化学研究の現場ではどんな技術を利用していて何が足りないか、新たな技術をいかに吟味し、使いこなしたらいいかを議論できた点で実りある時間を過ごすことができたように思います。

そして2025年活動へ

ここまで読んでくださっている方はお気づきでしょうが、2024年の活動で得た技術情報やアイデアをより発展させて、2025年には具体的に共有できるツールやデータセットを作ってみたいと考えています。

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